乙黒さんと別れ
気持ち良く店を出ると



時刻は深夜1時を過ぎていた。



この時間の繁華街は
まだまだ人で溢れている。



昔はあんなにギラギラした
ネオン街が好きだったというのに



今では静かな夜道を散歩したいような
気分になるのだからちょっと笑える。



真冬の風が肌を突き刺すように痛くて
思わず両肩が持ち上がる。



人気のない細い道で
ぼんやりと光る寂しそうな外灯。



俺もいつの間にか
この街とともに歳を取った。



あと5年も経てば30歳。



その頃の自分は
一体どんな容姿をしていて



どんな人と一緒にいて



どんな事をしているんだろう?



そんな風に未来を思い浮かべると
楽しくもあり不安にも襲われる。