あの頃の君へ〜eternal love〜

『武瑠!あっ、あれ見て‥!』



『えっ‥!?』



彼女が指さす方へ目をやると



真っ白な壁の上でカサカサと動く
小さな黒い物体が張り付いていた。



その正体は誰もが苦手な
"アイツ"だった。



『アッハハハハ!!!』



『お前ゴキブリ退治のために
俺を呼び出したのかよ〜!?』



『だっ、だってぇ〜!』



『両親が2人共旅行に行っちゃってて
こんなの誰にも頼めなかったんだもん。』



『アハハ!まぁ、いいよ。』



『ちょっと待ってな。』



渡された駆除スプレーを手に取り
俺はそれを壁に向かって吹きかけた。



ヤツはあっさりと床に落ちて



何枚にも重ねたティッシュの中で
動く事もなくゴミ箱へ捨てられた。