あの頃の君へ〜eternal love〜

江梨さんがクスっと笑って
艶のある髪を掻き上げた。



まったく、



彼女はつくづく面白い事を言う。



入社1年目の平社員と勤続10年の
ベテランが"良きライバル"だなんて‥



そんな事あるはずもないのに。



ふと時計に目をやると
時刻は23時を回っていた。



この調子だと今日はもう
終電には間に合わないかもしれない。



『ああっ!やっべぇ‥』



『今日はタクシーで帰るしかないか。』



つい独り言をこぼして
ガックリと肩を落としていると、



突然ケータイの着信音が
静かなオフィス内に鳴り響いた。



『もしもし‥?美希?』



『どうしたんだよ?珍しいじゃん。
こんな時間にお前が電話くれるなんて。』