あの頃の君へ〜eternal love〜

これはまだホストになって
間もない頃の話だ。



『おーい!新人!!』



『さっさとトイレ掃除終わらせて
買い出し行って来いや!』



『あっ!すっ、すいません!!』



トイレの中で必死に謝りながら
先輩達の怒鳴り声に怯える日々。



新人には避けては通れない
“雑用”という道がある。



それを知っていながらも



先輩ホスト達は毎日のように
後輩のオレに怒りをぶつけてきた。



まるでストレス発散のための
道具みたいに。



そして、



"ホストになれば
モテるかもしれない!"



そんな淡い期待さえ一瞬で打ち砕かれた。



それは忘れもしない
初出勤の日の事だった。



『そうそう‥』



『君の名前なんだったっけ?』



『僕は"秀吉"です。』



『あぁ‥そうだったね。』



ホストになって初めて接客した女性は



終始無表情のまま
グラスの酒に手を伸ばした。