『カンパーーイッ!!』



待ち合わせ場所の居酒屋で
男2人がジョッキ片手に乾杯する。



『プハーーッ!!!うめぇー!!』



『やっぱ仕事終わりの
ビールは最高だなっ!!』



友達の仲村がバカ高いテンションで
口まわりに泡をつけたまま



グビグビとビールを喉に流しこんでいった。



『おいおーい!武瑠ー!
お前全然飲んでねぇーじゃん。』



『せっかく飲みに来たんだから
もっとこうグイっと行こうゼー!』



『あー、ハイハイ。』



『飲んでるっつーの!』



そう答えた俺は無表情のまま
ジョッキに軽く口をつけた。



酒は好きだが
今日はなぜか進まない。



それはきっと、さっき会った
あの人の事が頭から離れないからだ。