あの頃の君へ〜eternal love〜

『香織(かおり)さんから〜!!』



『ピンドン頂きましたーーっ!!!』



その掛け声につられて
ふとホールの向こう側へ目をやると



店内は既に満卓になっていた。



そして、



華やかなシャンパンコールは



この静かなVIP席にも
大きく響き渡っていた。



『ねぇ?』



『風の噂で聞いたんだけど…』



『あなたもうすぐお店を
辞めるって本当なの…?』



成美さんがグラスに口をつけて
横目で俺を見つめた。



『…ああ。本当だよ?』



『もう広まってるなんてな。』



『噂って恐いな…』



俺は苦笑いしながら
彼女のグラスにワインを注いだ。