しばらく沈黙が続いた



そして卓が、サッと私の前に来て私の両肩に卓の両手を置かれて歩くのを止められた





『なぁ沙奈は好きな奴いるの?』




えっ?





一瞬、私の中で時が止まった




卓は私をずっと見つめたままだ




自然とうつむいてしまう私に卓は言った





『もしかして……


もしかして沙奈の好きな人は――――





兄貴・・・・・?』





その言葉に私の心臓は激しく高鳴った




この心臓の音が卓にバレては大変だと私は否定した




『なに言ってんの~!?


やだ~、何で私がお兄ちゃんを好きなの?


有り得ないよ


だって兄弟だよ!


私のお兄ちゃんだよ!

そんな他人ならまだしも兄弟に恋だなんて~

しかもお兄ちゃんには千夏さんって言うラブラブな彼女もいるじゃん


ま~ったく、卓って変なの~』





本当にお兄ちゃんを好きでは無いフリをした



そして自分で言いながら涙が出そうだった事実は私だけの秘密なんだ