それからは、3人とも何も会話せずに帰った。



気まずくなった訳じゃなくて、恥ずかしくてたまらなくて会話が出来なかったんだ。





だけど、家に着いて車を降りようとした時にお兄ちゃんが独り言のように呟いた。




『俺の負けだな…』




……って。




聞こえなかった事にして私は車を降りた。




お兄ちゃんは、もう私の気持ちを知っているんだね。




私は今夜、お兄ちゃんに千夏さんの事を話す決意をした。




だって、きっと、お兄ちゃんの心のどっかにまだ、千夏さんの事が好きなお兄ちゃんがいるはずだから……。




だから、お兄ちゃんの背中を私が押せたら………って、思った。