車を走らせて約1時間半くらいして、あの人のいる亜町に着いた。 何となく、そして微かに覚えてる亜町の光景 私が8才までいた町。 この町で生まれて育った町。 たくさんの事は覚えて無いけど懐かしい空気は感じ取れた。 『へぇ~、ここで沙奈は生まれたんだな』 後部座席に座っている卓が、車の窓を全開にして亜町を見ている。 『そうだよ。 私、ここで18年前に生まれたんだよ』 同じく後部座席で卓の隣りに座る私が感極まりながら言う。