「沖田さん………?」
………どうして。
沖田さんは私と浪士の姿を確認すると刀の切っ先を浪士へと向けた。
「あれ。僕は別に戦う気はないんだけどさ。僕は新撰組ごときに用はないよ。あるのはそこにいる彼女だけ。」
「新撰組“ごとき”……といいましたね?」
沖田さんからは、これでもかというくらいの殺気が滲み出ていた。
「新撰組を侮辱するということは、近藤さんを侮辱していることと同じです!」
沖田さんは、浪士に向かって刀を振り下ろした。
けれど浪士は、それをいとも簡単に受け止めた。
「へぇ……新撰組の沖田総司もこの程度かぁ。残念だな。腕だけは確かな浪人集団と聞いていたのに。」
その言葉に沖田さんはとうとうキレたみたいだった。
殺気が、かなり濃くなったから。
その後も、激しい打ち合いが続いた。
沖田さんの体には、少しずつ傷がついていった。
「沖田さん………!もうやめてください!私が行けば済む話なんです!たから……だから………!」
斬り合いの最中に力は使えない。
だったら………………。
「貴女は何を言っているんですか!なぜ舞花さんが行く必要があるのです!」
そうだ。沖田さんは、知らない。
私の、力の、正体を─────。



