そこには、1人の浪士が立っていた。
「…………ようこそ。“花の巫女”さん。」
花の、巫女─────?
この人は、何を言っているの?
「恋心によってその力の大きさが変わりなおかつ側にいる人間に幸福をもたらす伝説の巫女………。」
それは、華南が言っていたことと同じだった。
「まさか、実在していたとはね。新撰組のところにいたっていうのも意外だけど。」
この人は、一体何者────?
「僕達長州のもとへ来てもらおうかな。なに、悪いようにはしないさ。むしろ、新撰組にいた時よりも良い暮らしができると約束するよ。」
でも、だからって。
「どうして、私を連れ去る必要があるの?」
「簡単なことだよ。君が側にいれば、僕達長州が頂点に登りつめることができるからさ。」
「私は、そちら側にはいかない。」
「へぇ?じゃぁ君は、新撰組の人達に必要とされているの?隊内で孤立してるんじゃないの?“未来”から来た、とかで。」
────どうして。
この人は何故こんなにも私のことを知っているの?
しかも、花の巫女ってなによ。
私の頭がグルグルし始めたときだった。
「──────舞花さん!」



