綺麗な桜の細工。
そして、ちりばめられた小さな花びら。
まるで、夜桜のようだった。
私はその刀を手に取って抜いてみた。
すると店主の人は目を点にして驚いていた。
「へぇ、その刀は妖刀でして。」
「そうなんですか。おいくらでしょう。」
「お代は結構ですわ。どうせ処分するつもりやったし。」
「そうですか。では、遠慮なく頂きます。ちなみに、この刀の名はなんと?」
「へえ、“十六夜”と。」
「そうですか。いい名ですね。大切にさせていただきます。」
「へえ、またお越しやす~」
「はい、失礼します。」
十六夜……か。
イメージと結びつく名前。
流石、職人さん。
でもこれ、妖刀だよね?
なんで抜けたんだろ……。
「お待たせしました。」
お店から出ると、沖田さんは団子を手に座っていた。



