花翼は早歩きで浅葱の部屋へと向かっていた。 手には、勾玉を持って。 儚月の話によれば、この勾玉を浅葱の手に持たせれば、それだけで呪術は解くことができるという。 「浅葱殿……!」 浅葱はまだ眠っていた。 花翼は浅葱の手に、あの勾玉を握らせた。 そのとき、ドクンと、鼓動がした。 直後、浅葱の胸から浮き上がってくる黒いもの。