自分が演奏することで苦しんでいる人達を救うことができるということに、花翼は力を貰っていた。
自分でも誰かの役に立てる。花翼は嬉しくてしたがなかった。
「いつまでもこんなんじゃ……………だめだよね。もっともっと、役に立たなきゃいけない。」
外の世界を見せてくれた浅葱に、花翼はなにかお返しをしたかった。けれど花翼には琴の演奏依頼が多く、あまり休みがなかった。それは浅葱も同じだった。
そうこうしているうちに、半年が過ぎていった。半年はあっという間で、とても一瞬のように思えた。
花翼には村を離れたという実感があまりなかった。それよりも新しい土地にきたという好奇心のほうが大きかった。
もっと都のことが知りたい。もっと世間について知りたい。もっといろんなことを知りたい。
幼い子どものような気持ちだった。
「花翼。」
「浅葱殿…………」
振り返るとそこには浅葱が立っていた。
「実は話があってな。少しいいか?」
「はい。構いません。」
花翼は浅葱のうしろについていった。
「お話とはなんでしょうか?」
「実は……………最近儚月の様子がおかしいんだ。」
「儚月殿が?」



