今日はとくにやることはない。花翼は琴を練習しようと着物に着替える。
…………といっても渡された着物は高価すぎて着方がわからないため、いつも着ていたものにする。
「これから……………なにをすればいいの??」
花翼はまだ数えで十七。もう立派な大人と言ってもよい年齢であったが、村から出たのは初めてだったため、都の常識など知るはずもないのである。
「とりあえず………琴を弾こうかな。」
構えて、静かに、琴を弾く。
「ふぅ…………」
弾き終わると、花翼はわずかに息をつく。
「いい演奏だったよ。」
後ろから聞こえてきた声に花翼はあわてて振り向く。
「失礼ですが、どなたですか?」
「これは失礼。僕は浅葱とは友人でね。君のことを聞いたからちょっと様子を見にきたんだけど………本当に琴が上手だね。君は。」
「それはありがとうございます。」
「僕は儚月。気が向いたら僕の部屋に来て琴を弾いてくれないか?君の音色は最高だからね。」
「そうですね…………気が向いたら……」
「それじゃぁまた。磨閖によろしく伝えておいてくれ。」



