「あなたが……………ねぇ。あ、そうそう浅葱殿に仕えるなら、琴の他に舞を覚えたほうがいいわよ。あの方は芸を好いているもの。練習したところで損はないわ。」
「舞ならできます。琴と舞は得意ですから、お見せすることはできます。村ではよくやっていたので。」
花翼の琴と舞の腕は別格だった。
それは、貴族をも魅了するほどのものであり、なによりその容姿も加わっているため、完璧な女としか言いようがないのである。
「あら、そうなの?ならいいけど……他にわからないことがあったら聞いてちょうだい。私は大抵儚月殿の部屋にいるわ。この部屋に戻ってくることは少ないけど、新人の世話は私の仕事だし、気にしなくていいわよ。あぁ、それともう休んでいいわ。長旅で疲れたでしょう?」
「ありがとうございます。では私は休ませてもらいますね。すいません…………。」
花翼は布団を敷き、横になる。
数日で花翼の生活は水を撃ったかのようにガラリと変わった。
今まで着たことのないようなきらびやかな着物を渡され、今まで見たこともないような豪華な部屋に案内され、全てが全て、初見であった。
琴を弾くことができてよかった…………と今さらながら思う。
そんなことを考えているうちに、花翼は眠りに堕ちた。
清々しい朝の夜明け。いつもより体が痛むことを感じながら、花翼は目を覚ました。
やはり普段使用している布団でないと気持ち良く眠れない。
はやくここの布団になれなくては、と花翼は思う。



