「はい………では、失礼します………」
花翼は言われた通り、2つ奥の部屋へと入った。
中はとても綺麗な造りになっていて、自分には勿体無いとさえ思う。
部屋に見とれていた花翼に、突然誰かが正面から肩を掴んだ。
「あなた…………新入りね?」
停止しかけていた思考を再起動させて見上げた視線の先には、見たこともない美女がいた。
同じ部屋なのだろうか?
「私は"磨閖"よ。あなたと同じ部屋、で"儚月"に仕えているの。」
「わ、私は花翼と申します。浅葱殿に仕えさせていただくことになりました………」
「そう。浅葱殿に仕えるなんて、あなた凄いわね。あの女嫌いの俺様貴族が。」
「そ、そうなんですか??」
磨閖が言った言葉に花翼は目を点にさせる。
「そうよ。腕の良い琴の演奏者がいるって噂を聞いて向かったかと思えば女をつれかえってくるなんてね。」
「あ、あの……………」
「え?」
「琴を、演奏していたのは、私です……」
磨閖は驚いたようで一瞬顔を固まらせた。
「あ、あなたがあの噂の……………?」
「はい……………」



