「素晴らしい演奏だった。」
花翼はわずかに頬を火照らせる。
「どうだ、都に来ないか?」
「………え?」
花翼は驚いた。
ただの平民である自分が都へ行くなど、一生ないと思っていたからだ。
「なぜ…………私が?」
「俺に仕えないか?宮中にあがり、琴を演奏してくれないか?」
「む、無理でございます。私は平民ですし、着ているものもすごく質素ですし、それに…」
「必要なものは俺が用意しよう。あぁ、それと、お前の両親に既に話を通してある。可能なら、すぐにでもここを発ちたいのだが。」
花翼は考えた。
仕える、ということは、その人と添い遂げる覚悟をもたなければならない。
村を出るということ、都に行き、暮らすということ。
2つのことが花翼の頭の中を交差する。
しばらくして、花翼は男の話を了承した。
母に申し訳ないという気持ちもあったが、自分が都に行けば、両親は喜ぶのではないかと考えたのだ。
花翼は、両親にこのことを話した。
自分は都に行くということ。
明日ここを発つということ。



