その能力は、琴を弾く、または怪我をした箇所に手をかざす、など様々な方法により使用できる。



花翼はほぼ毎日貴族や平民に琴を聞かせ、能力を使い、怪我人や病人を治していた。



自分が能力を持っていると知ったのは、物心がついた頃だった。










もう随分昔のことだ。自分に能力がそなわっていると知ったのは。









花翼は、ある村の村長の孫だった。幼い頃から花翼は他の人とは違う扱いを受けてきていた。



年が近い子とも遊べず、ひたすら毎日暇をつぶしていた。



そんなときに出会ったのが、琴、そして、舞。



琴を弾くことに楽しみを覚え、舞を踊ることで、心を穏やかにすることができた。



ただ一日中、琴を弾き、舞を踊り、唄う。



そんな生活をしていると、いつしか花翼の琴の音色は村中に広まっていた。



「花翼、ちょっといいかしら。」


「母様。どうかされたのですか?」


「あなたの琴を聞きたいという人達がたくさんきてくださったの。せっかくだから、みなさんの前で演奏をしてはどうかしら。」


花翼は一瞬ためらったが、了承し、家に招き入れた。