花翼は息を吸うと、琴を弾き始めた。



穏やかで美しいその音色は、人々を魅了する。




「ありがとうございました。」



弾き終わると、花翼は三つ指をついて綺麗に礼をする。



花翼は静かに部屋をでる。




「花翼」



部屋をでてすぐに、ある人物に呼び止められた。


それは花翼が仕えている貴族、"浅葱"だった。



「今日も演奏したようだが、もう人前での演奏にはなれたか?」


「いえ………まだ少し緊張しますね。」


「まだ慣れてないのか?もう宮中にあがって半年だろう?」


「そうですけれど………なかなか慣れないものでして……」


「だが、お前の琴の音色には不思議な力がある。その音色をもっと人々に聞かせてやってくれ。」


「はい。少しでも多くの人々が助けられますよう、頑張りますね。」


「あぁ、期待している。」


花翼には、ある能力(ちから)がある。


それは治癒能力。