「あ、お兄ちゃん!」 ミユウは起き上がって、ミナトを呼び止めた。 「どうした?」 ミナトはドアノブに手をかけたところで振り返る。 「月下美人にかかってた呪文に気づいてた?」 「通信魔法、だろう?」 やっぱり。お兄ちゃんはどこまでも抜かりがない。 教えてくれても良かったのに!と言いたい気持ちは飲み込んでしまう。 「そうだよねー。聞きたかったのはそれだけなの。引き止めでごめんね!」