俺は、松風紬(まつかぜつむぎ)

今、楽しみと不安の両方で頭がいっぱいだ。

何故ならここ、たまくら町の高校、通称たま高の入学式に行くのだ。


「行ってきまーす。」


朝ご飯を食べない俺は身支度をさっさと済ませて玄関を出る。

返事は返って来ないが勿論、両親は健在だ。

学校は片道20分と、まぁまぁ遠く、遅刻するのも嫌なので早々と自転車に乗り、通学する。

俺は頭が悪く、中学の時少し悪さもしてきた為、仲良かった友達とは同じ高校には入学する事は出来なかった。

更に高校が少し遠いから同じ中学の友達はいない。

いわば、完全にアウェイの状況だ。

そんな不安があったが、裏腹に、新しい環境、どんな人がいるのかと想像すると楽しみも同じ位大きかった。