うつくしいもの


「いや、お前の声、すげーいいな?

鳥肌が立った」


実際、本当に鳥肌が立っているのかは分からないけど、
涼雅は目を輝かせて私を見ている




「えっ?本当ですか?」



歌や音楽に特別興味がある子では無かったけど、
私は昔から歌は上手かった




「お前も、音楽やってんの?」




「いえ。

あ、でも、おばあちゃんが演歌が好きで、
子供の時からよく歌ってました。

十八番は『うら恋慕』って曲で……、って興味ないですよね?」


きょとん、とこちらを見ている涼雅に、
慌てて話を打ち切る