「また、俺が曲を書くから、
もう一度歌ってくれない?

あの歌声を、もう一度聴きたい」



彼のその言葉に涙が溢れて、

背後から彼に抱き着く




もう一度、私は歌う――



大切な誰かの為に歌える





包帯がぐるぐると巻かれた、
私の左手首





その先に有る手の薬指に、

彼が銀色に輝くリングを嵌めてくれた










(おわり)