「――兄貴は俺より、才能が有るから。
俺なんかより、本当にいい曲を書く。

だから、なんで兄貴じゃなく俺が此処に居るのか、不思議」



「――優雅」



優雅の名前を呼ぶ事しか、出来ない



どう言ってあげたらいいのか、分からない



少しでも優雅のその悲しみを無くしてあげたいのに、
本当に私には何もしてあげられない




「――リハ迄には戻って来るから。
准一や仁志や高橋さん達には俺から連絡する」



優雅はベッドから、降りると


「見送りはいらないから」


そう言って、寝室から出て行った