「――俺、なんとなくだけど、
菜々花と寺岡さんの事に気付いてた。
あの人がどんな人か、そんな噂もよく耳にするから」
実際、そう言われて、どう言葉を返していいのか分からない
何もないって嘘を付いたって、
絶対に優雅は信じない
それに、優雅は確信していて、
それが本当か嘘かを知りたくて口にしたわけじゃないと思う
「――ごめんなさい。
私、本当に優雅が好きなの…。
裏切りたかったわけじゃない……。
寺岡さんに、逆らえなかった。
脅されて……。
あの人に逆らったら私、もうこの世界に居られないかもしれない」
嘘を付こうが、寺岡さんをどれだけ悪者にしても、
今、優雅を絶対に失いたくないと思った



