うつくしいもの


涼雅は私の気配に気付くと、

演奏も歌う事も止めた




「――前のように、弾けないのですか?」



「あ、分かる?」



「なんとなく、です……。

私、ギターに詳しくないから」



今の涼雅のギターの音色は、

以前とは違うような気がした



涼雅が再びギターに触れると、

そのアコースティックギターは悲しいような音がした




「隠しても仕方ないけど。

あの事故以来、右手が前みたいに思うように動かないんだよ」