「――失礼します」


頭を下げると踵を返した





「俺、菜々花ちゃんが、初めて誰かに曲を書く事になるんだけどさ。

俺も寺岡さんみたいに、自分が曲書いたりした女をものにしたくなるかもしれない。

あの人と違って、
俺は本気でのめり込むけど。
才能あるものが好きだから」



背に聞こえて来るその言葉に、

振り向く事も歩き出す事も出来ない




「まぁ、今は優雅君だっけ?
その子と仲良くね」