うつくしいもの


「はい。

でも……」



それは分かったけど


はい、そうですか、
と引き下がれない




「誤解が有るみたいだけど、
寺岡さんにはついついあんな風に言ったけど、
本当の事が言えなかったんだよ。

君みたいな“才能の有る新人の子”と、
歌いたくない、って」


そう言って、秋原さんはワインを煽るように飲む




「あの、言っている意味がよく分からないです……」



「俺は、曲を作る才能には恵まれていると思う。

そりゃあ、生み出す時にしんどいな?って思う時は有るけど。

でも、ボーカリストとしてはどうなんだろ……」