「辞めて!!」
私が間に入ると、
涼雅は今初めて私の存在に気付いたのか、
その手を離した
今、何故涼雅が寺岡さんに対して怒っているのか……
優雅の話していた事は、本当なんだ
それを知ると、
涼雅の顔を見る事さえも辛くて仕方ない
涼雅がどれだけ頑張っても、
その成功をこの男に潰されるんだ――…
「あんた、一体なんで俺を潰したいんだよ?」
その問いに、寺岡さんは表情を動かさずに、
涼雅から顔を背けるだけ
それは、涼雅に対して後ろめたいと言うより、
今のこの状況が煩わしいと言う感じ
「――優雅か?
あんた、あいつに頼まれて、俺を?
」
「そんな訳ないじゃない!
優雅はそんな事しない」
勝手に、言葉が口を突いて出ていた
優雅は、あなたにそんな事はしない
なのに、優雅をそうやって酷く言うこの人に、
腹が立った



