「兄貴は高校生になると、ギターを始めて。
二年生になるとバンドを組んだ。
それがすっごい楽しそうに見えて、
それが気に入らなくて。
だから、俺もすぐにギターを始めて、あの人よりいいバンドを作って勝ってやろう、って思ってたら、
強引に、JUKEに入れられて」
“――俺の周りで他にギターが上手い奴は優雅しか居なかったから。
で、無理矢理優雅を俺らのバンドに入れた――”
そう言えば、涼雅が言っていた
「でも、これで良かったんだ。
あの人のバンドに入って、
あの人には最悪で俺には最高な形で、
あの人に勝ったから。
兄貴より、俺の方が寺岡さんに選ばれた」
肩を揺らし、優雅は笑う
その振動が私の膝に伝わる



