「あの人、子供の頃は喘息で。
だから両親は、すっごく兄貴を大事にしていて……。
あの人、勉強も出来ないし、素行も悪いのに」


優雅はそれを言葉にし出すと止まらないのか、

辞める事なく言葉を続けた



「ある程度の年令になったら喘息が治って、煙草とか吸い出したり。
学校で問題起こしたり……。

女にだらしなくて、最悪で」


本当に、優雅は涼雅の事が嫌いなんだな、

って思わされる口調



今、私から優雅の顔は見えない位置だけど、

どんな表情でそう話しているのか想像がつく




優雅は知れば知る程に本当に心根が優しくて、

私にだけじゃなく周りにも優しくて、いい子




でも、涼雅に対してだけは違う



別人みたい



優雅じゃないみたいに




「あの人、周りに迷惑ばっかり掛けてんのに、
なのに周りから愛されて。

両親だって、俺よりも……。

俺の方が親の言う事を聞くいい子だし、勉強だって頑張ったのに」



「うん……」


そっと、優雅の頭を撫でた



手には、優雅の男性にしては柔らかい髪の感触がする