最悪から最愛へ

「あれ?チーフ、大丈夫ですか?」


「紺野、寝るなよ」


良い感じに酔っている渚は、眠くなってきていて、テーブルに顔を伏せている。


「そろそろ帰るか?支払いは、田中?」


「え?いえ、チーフが奢ってくれると言ってました。今日助けてくれたお礼にって」


田中くんは、やらせてもらえないなら、出す必要はないと判断したようだ。半分寝ている渚が反論しないだろうとも思っている。


「紺野が払うって?本当かよ?仕方ないな、俺が出すよ」


「わお!ごちそうさまです!…で、チーフはどうします?ほぼ寝てますけど」


厄介なことは引き受けたくない田中くんは、峻の言葉を待つ。

峻は、肩の力を落として…「俺が送るよ」と言った。


「よろしくお願いします。おやすみなさい」


田中くんは、全てを峻に頼んで早々と居酒屋を出て、自転車を走らせる。どうやら、彼女の家に行くようだ。