最悪から最愛へ

「え?嘘?俺、嘘つかないですよ」


田中くんは、何を言われているのか分かっていない。

「腹が痛いとか頭が痛いとか、嘘ついているだろ?仮病を使って、何度も休みのはどういうことだ?」


「え?仮病じゃないですよ。本当に痛かったんです。すぐ直ったことはありましたけど」


「お前が具合悪くて、休んだ時、女の子と仲良く歩いていたという目撃情報があるんだけど、どういうことなんだよ?」


峻も渚も、平気でまだ嘘をつく田中くんに呆れ顔だ。どこまでも嘘をつくのだろうか。


「ああ!それは、たまたま一緒にいたから、支えてもらったわけで…」


「ニコニコしながら、ホテルに入って行ったと聞いたけど」


「え?そうなんですか?」


初めて聞く目撃情報に渚が驚く。そんな目撃情報はなくて、嘘をつき続ける田中くんに、かまをかけているだけなのだ。信じやすい渚に、峻を小さくため息をつく。