最悪から最愛へ

だから、もちろん断るつもりでいた。受け入れる気はない。


「おい、田中。お前、そんな下心があって、紺野を助けたのか?」


「ええ!店長!何で、ここに?」


田中くんも渚も、突然現れた峻に驚く。何のために来たのだろう。


「田中の手が早いという噂を聞いたことがあったから、気になって来てみたんだよ」


「はい?」


だからといって、何で峻がわざわざ夜遅い時間にここまで来るのか分からない。どんな気まぐれなんだろう?


「店長とチーフは、付き合っているのですか?」


田中くんが二人の仲を勘違いしてしまうのも不思議ではない。


「は?付き合ってなんかいない。何で、こんな女と…」


「それは、こっちの台詞です。私が何で、店長なんかと付き合っていると疑われないと、いけないですか」


こんな女と言われ、渚は目をつり上げる。