最悪から最愛へ

峻は、飲んでいる場所を聞き出したら、呆気なく切った。


「店長、心配していたのですか?」


「うん。でも、田中くんが助けてくれたって、話したよ。本当に田中くんがいて、良かったよー。お礼にここは奢るからね」


「いや、そんなお礼はいらないですよ。俺も男ですから、ここは払います。いや、払わせてください」


「え?でも…」


田中くんは、アルバイト。渚は正社員で、チーフという手当ても貰っている。当然ながら、渚の方が収入が多い。倍くらい違う。それなのに、奢ってもらうなんて出来ない。渚は、チーフとして、年上として、自分が払うべきだとやっぱり思う。

でも、それでは男としての田中くんのプライドを傷つけることになってしまう?

渚は真剣に悩む。


「あ、じゃあ…お礼にー」


田中くんの方が軽く考えているようだ。


「エッチさせてくださいよ」


簡単に考え過ぎだ。