最悪から最愛へ

峻が出て行ったのを確認してから、渚は両手をあげて、大きく伸びをする。


「んーー。やっぱり疲れる…」


峻と同じ空間にいるだけで疲れるのだった。せっかくの休憩が疲れるなんて、最悪だ。だから、とりあえず追い出せて、安堵する。

1人の方が気楽だ。


「あ、美味しい」


さっきまで味のしなかった弁当が美味しく感じられる。渚が食べているチキン南蛮弁当は、ラックスストアの人気商品だ。

峻がいないことが渚にとって、一番の休息である。やっと休めることが嬉しくて、ひとつひとつを味わう。

最近、渚は異動願いを出そうかと真剣に考えている。峻が直属の上司で、店長である限り、不都合なことが増える。意見は絶対に通らない。何を言ってもダメだと言う。耳を傾けようとしない。

嫌な部分を思い浮かべると次から次へと出てくる。不満だらけである。峻以外に不満はないので。峻を追い出したいが、当分異動にならなそうだ。