最悪から最愛へ

駅に行けば、タクシーが止まっている。急いで電車に乗るよりは、タクシーで家まで行く方が良いとの判断だ。


峻と渚の最寄り駅は、ひと駅しか違わない。一緒に帰りたくはないけど、同じ方面だから一台に乗った方が経済的には良い。

節約のため…そう自分に言い聞かせて、渚は峻と同じタクシーに渋々と乗った。


「まだ痛いか?」


「いえ、もうそれほどでもないです」


最初の衝撃的な痛みはなくなっていた。まだジンジンと、痛むけど。


「なら、何でそんな難しそうな顔をしている?」


「眠くて…」


眠いけど、ここで寝るわけにはいかないから、必死で目を開けていた。それが難しい顔に見えていた。


「寝てもいいぞ。近くまで行ったら、起こすから」


「あ、じゃあ…お願いします」


峻にこれ以上頼りたくはないけど、眠気に勝てない。そして、渚は一分も経たないうちに寝てしまった。