最悪から最愛へ

峻は、公園のベンチに渚を座らせて、水道へ行く。グレー色のハンカチを濡らした峻は、渚の隣に座った。渚は痛む膝をじっと見ていた。


「ほら、見せて」


「はい…」


擦りむいた膝を峻に向ける。ふくらはぎを軽く持って、膝に付着している砂を落とす。渚から渡されたティッシュペーパーで、軽く押さえる。


「スカートの丈、短すぎるんじゃないか?」


膝を持ち上げたことで、中が見えそうになる。渚が履いているスカートの丈は膝より5センチ上だから、短すぎるというほどでもない。


「見ないでくださいよ」


渚は、少し頬を赤くしてスカートの裾を押さえた。


「別に見ないよ。貸して…」


渚から絆創膏を受け取って、傷口に貼る。


「もう電車、間に合わないかも。どうしよう…」


最終電車の発車時刻まで、あと5分。走れば間に合うかもしれないけど、この足では走れない。


「タクシーで帰るか。とりあえず駅まで行こう」


「はい」