慌てる渚とは対照的に、峻は楽しそうだ。渚とのこれからを考えるだけで頭の中はバラ色のようだ。


「渚は本当に真面目だよな。ご両親も真面目なのかな?俺、緊張するなー。手土産は何がいいかな」


早くも挨拶に行くことを峻は楽しみにしている。結婚前提として付き合うことになるなら当然のことだけれども…


「あの、店長。気が早くないですか?」


たった今付き合うことになったのにもう親に挨拶する話になるなんて、急ぎ過ぎだ。親だって、前触れもなく娘の結婚相手が現れたら驚くに違いない。


「それに」


「それに何?もうすぐ着くけど?」


峻の家まであと少しだった。今さらここでやっぱりダメです…なんて逃げられても困る。ずっと心待ちにしていたのだから。

渚は峻の言葉で、暗い中でも周りの景色を見て、家が近いことを確認する。