最悪から最愛へ

「て、店長…」


峻の口調には渚も驚いた。

店長である峻に、クレームを入れられたら、最悪の場合、降格とかの処分を受ける可能性がある。自分のことで、峻に迷惑を掛けれない。

良い解決策は思い浮かばないけど、山口の怒りを沈める必要を感じる。


「山口さん」


「ん、なあに?紺野さんが俺の名前を覚えていてくれたなんて、嬉しいなー。言いたいことがあるなら、遠慮しないで何でも言って」


山口の表情は180度変わった。渚に名前を覚えてもらって、さらに呼ばれたことが余程嬉しいようだ。


「あの、山口さん。今日は私、用事があって…」


とりあえず、今日だけは逃れたい。また後日誘われるかもしれないが、今日を逃れれば…。


「用事があるの?仕方ないなー。じゃあ、紺野さんの次の休みに会おうね。休みの日を教えてよ」


二度も名前を呼ばれて、山口は機嫌が良くなって、約束を取り付けようとする。


「紺野。教える必要はない」