最悪から最愛へ

電話の相手は峻だ。30分経っても、渚が姿見せないから、掛けてきたのだ。


「はい…」


「遅い。今、どこ?」


渚は自分の居場所を確認するまでもないのに、なぜか辺りを見回す。


「家ですけど」


「はあ?何しているんだよ。もう出れるのか?」


「えーと、あとバッグを持てば…」


渚は話しながら、バッグを取りに行く。


「分かった。とにかく待ってるから、気を付けて来いよ」


「はい」


急いで来いと言われなかった…渚は、外に出て、ゆっくりと歩く。走れば5分で着く距離だが、走るつもりはない。

10分後に駅に着いたが、峻の姿がない。また電話が鳴る。


「南口駐車場にいるから、来い」


用件だけ言って切る峻は、映画の時間を調べる。観ようとしていた時間には間に合いそうもないので、次の時間を確認する。


「すいません、遅れて…」


「今日、何か予定はある?」