最悪から最愛へ

耳が見えたので、今度は耳たぶを触ってみる。寝ているからやりたい放題だ。


「んー」


くすぐったく感じたのか、少し顔が動く。今なら起きるのでは?峻は、また肩を揺する。


「紺野?起きろ。重たくて、部屋まで運べないから、起きて歩いて…」


「んー。…え?え?」


渚の目が開く。目の前にある峻の顔に驚く。


「よし。じゃあ、部屋まで歩けよ」


「あの、ここは…?」


何となく見覚えがあるような、ないような…。見回して見るが、暗くて良く分からない。

けれど、自分の家ではないのは、判断できた。


「お前んちの近くまで行ったけど、起きなかったから、仕方なく連れて来た。俺ももう眠いから、もう一度は送らない。ベッド、貸してやるからそこで寝ろ」


「はあ…」


偉そうに寝ろと言われて、渚は返事に困った。