気遣ってくれてるんだ。しっかりしなきゃいけないのは私の方なのに。

私は「ごめんね。ありがと」と謝罪と感謝の気持ちを一緒に伝えてから、それを行動で示すかのように再び菊地原くんの頭を優しく撫でた。
無造作に跳ねた髪の毛は思っていた以上に細く柔らかく、相当の猫っ毛であることが分かった時、私はまた顔の筋肉が緩んでくるのを感じた。
こんなところも猫みたいだなんて、本当に魅力的な男の子だ。


「おい菊地原!昼間から女子にセクハラしてんじゃねーよ!」


突拍子もなく上から荒っぽい声が降ってきて、そちらに視線を移動させてみると、二階の教室の窓から奈良くん含めサッカー部の面々が顔を出していた。
菊地原くんは「アレ、ただ僻んでるだけだから気にしなくていいよ~」なんて言いながら、私の太股に頬擦りをしていた。

可愛いな、もう。