姫 ~なくてはならないもの~








「おっ 待ってました~!!じゃ、まず俺からね~!!!!!」









 元気よく立ち上がったのは、なっちゃんの斜め前に座る彼、桐生一輝。



 生徒会役員がこんなんでいいのかっていうくらいチャラい彼は、


 胸ポケットから取り出したヘアピンで茶色の前髪を止めた。









「俺、桐生一輝ね!一輝って呼んで!好きな物は女の子!!よろしくね!!」










 なっちゃんの前を通って私の前に来て、両手で私の手を握ってぶんぶんと振る彼。



 満面の笑みの彼に対し苦笑いの私。



 とりあえず、揺れる度首にかかっているネックレスが私の顔にあたりそうだからやめてほしい。







 一輝……さんが席に戻ったところでなっちゃんとは逆の斜め前に座る


 大野新がチッと舌打ちをした。






「大野新」

「鈴森瀬南(スズモリ セナ)」

「で、俺が相沢遙斗ね」







 光の速さで進んで行く自己紹介。



 流れを止めてしまったせいか私に舌打ちしてくる大野新。


 ………こいつに投票なんかするんじゃなかった。


 あとこっちを見ないで欲しい。金髪が太陽の光を反射して目が痛い。









「宝生さんの番だよ」








 にっこり笑って私に話しかけてくれる相沢さん。



 この中で一番優しい。優しいけど怒ったら怖いタイプだな、うん。