扉がそう音をたてて開くのを期待したが… 「は?」 誰も出てこない。もう一度押してみても結果は同じ。 「なんでだよ………」 俺は情けなく、その場にしゃがみこんだ。 ぼんやりと、空を見上げる。 そこには、五日月とでも云うような太り具合の月が雲ひとつ纏わず堂々とだけどどこか空虚にぽっかりと浮かんでいた。 そういえば、誰かが言っていた気がする。 何だったかな、つき、月……… 考える俺を後目にエレベーターの起動する気配が感じられた。 同時にこっちへ向かって歩いてくる人の足音も、