イチは笑って言うと、木箱を片付け、水瓶にためてある水を桶にとり、布を洗い始めた。水が赤く染まるのを見て、ラファルが顔をしかめた。
「見ない方がいい」
ささやくように言って、そっ、とラファルの頭を引き寄せた。ラファルはタリアを見上げる。
「そんな顔するんじゃないよ、まったく」
タリアは笑って、ぽんぽんっと小さな頭を撫でてやる。
「私は何百回も、嫌というほど怪我して来たんだ。これくらいの傷、対したことない」
「でも、痛いものは痛いよ」
「確かに痛いよ。けどね、たいていの傷は、どんな形であれふさがるものさ。痛みもなくなる」
「……うん」
ラファルが頷いた時、布を洗い終えたイチが再びこちらにやって来た。
「そのたび、縫ってやるのは俺だけどな」
「そうだったねぇ」
「お前、怪我しないで帰って来たことないんじゃないか?いつもどこかしら怪我しつ、血を流してるもんな」
「そんなことないだろ?怪我しないで帰って来たことくらい何度かあるさ。隊商の護衛なんかで」
ひとりでやる暗殺なんかの依頼より、多勢ー少なくともひとりではない護衛任務の方が、怪我をする確率が低い。
それに、タリアには依頼を断る権利があるので、自分には荷が重いと感じたり、依頼人が信用できない場合は断るようにしている。
依頼人が力づくで首を縦に振らせようとしてくるならば、こちらもそれ相応の態度でもって接している。
「見ない方がいい」
ささやくように言って、そっ、とラファルの頭を引き寄せた。ラファルはタリアを見上げる。
「そんな顔するんじゃないよ、まったく」
タリアは笑って、ぽんぽんっと小さな頭を撫でてやる。
「私は何百回も、嫌というほど怪我して来たんだ。これくらいの傷、対したことない」
「でも、痛いものは痛いよ」
「確かに痛いよ。けどね、たいていの傷は、どんな形であれふさがるものさ。痛みもなくなる」
「……うん」
ラファルが頷いた時、布を洗い終えたイチが再びこちらにやって来た。
「そのたび、縫ってやるのは俺だけどな」
「そうだったねぇ」
「お前、怪我しないで帰って来たことないんじゃないか?いつもどこかしら怪我しつ、血を流してるもんな」
「そんなことないだろ?怪我しないで帰って来たことくらい何度かあるさ。隊商の護衛なんかで」
ひとりでやる暗殺なんかの依頼より、多勢ー少なくともひとりではない護衛任務の方が、怪我をする確率が低い。
それに、タリアには依頼を断る権利があるので、自分には荷が重いと感じたり、依頼人が信用できない場合は断るようにしている。
依頼人が力づくで首を縦に振らせようとしてくるならば、こちらもそれ相応の態度でもって接している。

