聖魔の想い人

縫われたそこは糸が血を吸って赤黒く染まり、当のタリアが見ても醜いと思う。こんな物を、ラファルに限らず幼い子供に見せたくはない。

それんちゃんと察してくれ、ラファルはこちらを向かず、ちらつく火にのみ視線を注いでいる。

「賢い子だな」

タリアの右腕に、新しい布を巻きながらイチが言った。

「人の言いたいことを、始めから分かってるみたいだ」

「そうだね。……でも」

「何だ?」

「…そうせざるをえない、というような感じがする」

少し声を低くして言ったタリアに、一度目を向け、イチは布を巻き終えた。

「さて、次は腹の傷だ。見せてみな」

「あいよ」

タリアは言って、上衣の裾を持ち上げた。よく狙われる胸から腹にかけて、無数の傷痕が残っている。

「この傷は深かったな。内臓まで届いていなくて良かった」

「……ッ」

「おっと、ごめんよ」

イチは手早く、腹の傷の布も替えると、汚れた布をくるくるっとひとまとめにした。タリアは、ラファルを呼んでやった。

「悪かったね。もう大丈夫だよ」

「傷は治った?」

「そんなにすぐ治らないよ。もう少しかかる」

「けど、常人よりずっと早いんだぞ。年がら年中傷だらけで、体も可哀想に」

「悪かったね」

「少しは自分の体を労るってことを覚えろよな」