タリアは苦笑して長剣を抱えて壁に寄りかかり、雨戸が開けられた窓から見える表通りの様子に目を向けた。
こうして、遠くから眺めている分には賑やかなのも悪くないと思うが、実際にあの中に入るとなると、タリアには少しきついものがある。
人生の半分近くを人から身を隠して生活してきたため、賑やかというものがあまり得意ではないのだ。
どこかで旅芸人が芸をしているのか、太鼓や笛の音、笑い声や手拍子が聞こえてきた。
昔、一度だけ母に連れられて、旅芸人の芸を見たことがある。どれもこれもが面白くて、周囲の賑やかさに呑み込まれないよう、タリアも一生懸命拍手を送っていた。
聞こえてくる音色に耳をすませ、指で軽く剣が収められている鞘をたたく。美しくも複雑な模様が彫られている。ずっとタリアと一緒に旅をしてきた物だ。
もう、これ以外の剣をふるっている自分なんて想像がつかない。今の稼業を終わらせるまで、この剣を握っているだろう。そんな気がした。
ーこの稼業を終わらせるのは、いつになるんだろう。
そもそも、私はこの稼業をやめるのだろうか。ー
何度か、他の職業にかえようと思ったこともあるが、どんなに考えてもこれ以外の職業で生きていくつもりがないらしいのだ、自分は。今さら畑仕事だの何だのと、一度離れてしまったらやる気にもなれない。
こうして、遠くから眺めている分には賑やかなのも悪くないと思うが、実際にあの中に入るとなると、タリアには少しきついものがある。
人生の半分近くを人から身を隠して生活してきたため、賑やかというものがあまり得意ではないのだ。
どこかで旅芸人が芸をしているのか、太鼓や笛の音、笑い声や手拍子が聞こえてきた。
昔、一度だけ母に連れられて、旅芸人の芸を見たことがある。どれもこれもが面白くて、周囲の賑やかさに呑み込まれないよう、タリアも一生懸命拍手を送っていた。
聞こえてくる音色に耳をすませ、指で軽く剣が収められている鞘をたたく。美しくも複雑な模様が彫られている。ずっとタリアと一緒に旅をしてきた物だ。
もう、これ以外の剣をふるっている自分なんて想像がつかない。今の稼業を終わらせるまで、この剣を握っているだろう。そんな気がした。
ーこの稼業を終わらせるのは、いつになるんだろう。
そもそも、私はこの稼業をやめるのだろうか。ー
何度か、他の職業にかえようと思ったこともあるが、どんなに考えてもこれ以外の職業で生きていくつもりがないらしいのだ、自分は。今さら畑仕事だの何だのと、一度離れてしまったらやる気にもなれない。

