妙にウキウキした気分で、家に到着する。
こんな事は今までになかったから、ウキウキして当然か。

だから、忘れてた。
妹が整形手術を受けていたという、現実を。


家に帰ると、既に父さんの靴があった。
今日は早めに仕事が終わった証拠だ。

それと同時に、普段より2組も多く、ローファーが置いてある。
それぞれ、男物と女物のローファーだった。
……何だ、これ? 何で置いてある?


自分の部屋で宿題をしてると、「ふざけんな!」という罵声が聞こえた。
思わず部屋を飛び出すと、居間で父さんが叫んでいた。

テーブルの向こう側に、振り上げられた、父さんの拳が見える。
その先には、床に座り込む、整形手術の傷痕が開いて血が流れる、妹の姿が。


「父さん、何してるの!?」


私が問いかけても、父さんも妹も反応しない。
よく見ると、妹の隣りには、ウチの高校の制服を着た、流行りの顔の女子は、無表情で座っていた。

おかしい。何かがおかしい。
父さんは妹を殴っている。
妹は殴られて出血してるのにも関わらず、その隣りの女子は何の反応も見せない。
その異常さは、もはや気持ち悪さすら覚えた。





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